2023 スピンオフ「最強!!明和FC伝説」 感想



以下は2021年からC翼マガジンで連載されているスピンオフシリーズ「最強!!明和FC伝説」第9話までの読後日記です。ブログ等に書いてきたものに加筆修正しました。練り直して考察にするつもりでしたが、何十年も好き勝手に妄想してきたところへ突然公式発表をぶち込まれて右往左往する様子を残しておきたいと思いまして。なお、これはあくまで私の脳内の記録であり、正確な作品紹介にはなっておりませんのでご了承ください。


2021年6月 プロローグ
結局買いましたよ…。この薄さで880円…(愕然)。ううっ、次はポイント貯めてからにしよう。
で、問題のスピンオフのタイトルが「最強!!明和FC伝説」。ついに来た原作者による公式過去エピソード! …しかし今回は吉良監督の話だけでした。五輪監督になった経緯と、現役を引退して明和FCを立ち上げた頃の回想。これを導入として、次号から明和編が始まります。監督によると明和が一番強かったのは、日向が5年生で岬、タケシ、若島津がいて、周りを優秀な6年生が固めていた時のチームで、その年の話になるようです。
買う前はビビッていたのですが、久々に原作を読んで心が動かないことを実感しました。もう公式で出てきた話でも「正解」ではなく「新解釈」くらいにしか認識しなくなっている。後付けの話って作者が描いてても矛盾してたりするし、大体シュナイダーなんか映画とテレビと原作で違うし、おいしいとこだけ(あれば)頂いときゃいいやと思います。とりあえず自分の煩悩は出し切った後なので、影響受けずに済んでよかった。


2021年8月 第1話
スピンオフ明和FC伝説第1話。仕事に行く途中に書店で購入し、家に帰ってから読もうと思っていたのですが、
「必見! 日向と若島津の出会い!」
…そう表紙に書いてあるんですよ? とても我慢できず、駅のトイレで開封してしまいました。
彼らの出会いは小5の秋、明和FCが県大会の決勝で負けて全国行きを逃した後です。試合のことを思い出してイラついた日向が力任せにボールを蹴り、それを偶然居合わせた若島津が止め(正確にははじいて蹴り返した)、「あいつはいったい何者だ!?」というのが初対面(以下次号)。
長年小次健やってて色々なパターンの出会いネタを読んできましたが、これほどまでに自分の妄想に近いものは初めてで、それが原作というのが衝撃でした。時期については設定上ここしかないだろうと思ってはいましたが…。とりあえず先に描いておいて良かったです。ほんと何が起こるかわかりません。
あれが初対面てことは別の学校だと考えられますが、会った場所は日向の学校なんですよ。登校時みんなランドセルしょってるところ(日向は肩に担いでましたが)、若島津は道着だけ持って朝稽古の帰りっぽい感じ。どういう小学生? そんな若島津の子供時代が次号明かされるようですが、また2か月後…。ヒィィィ気になるー! 結局今も原作に翻弄されております!



2021年10月 第2話
なんと若島津は転校生だった!!!
家は明和西町で別の小学校に通っていたが、小5の時に明和小に転校してきたという設定。別学区説も同じ学校説もどっちも正解だったわけですね(笑)。やはり明和FCが全国大会に出られなかった小5の夏までは「若島津はチームにいない=日向と面識がなかった」ってことにしたと。
で、転校の理由というのが、6年生10人を叩きのめしてしまったから。空手で日本一になったりして目立っていたため不良グループに絡まれ、空手技で瞬く間に全員片づけたら大騒ぎになり、転校せざるを得なくなったと…カッコいい!! 冷静なのに戦えばめちゃくちゃ強い、サッカー以外で空手を使う、本当に戦っている若島津を初めて見て感動です。やっぱ少年漫画っていいなあ。自分も含め、腐女子の作る話ってどうしても少女漫画的なんですよね、当たり前だけど。
しかしこんな面白い大ネタがあるのにどうして今まで何十年も描かなかったんですかね先生。ほんと、できれば中学生編の頃の増刊号とかで読みたかったなあ。本編の方で外人キャラの超詳しい生い立ちなんか長々とやってますが、その労力とページ数をこっちに使ってくれれば…。だって今回たった13ページですよ? ちなみに次号は体育の授業で、日向のクラスと若島津のクラスでサッカーの試合をするそうです。開始前、なぜか日向を見ている若島津(後ろに点描。一目惚れか?)。これでまた2か月後!?
キーーーーッ!と、駅のトイレで歯噛みする女もうすぐ50歳…。


2021年12月 第3話
クラス対抗サッカーの続き。若島津は小5には見えませんが、顔は超カワイイです。クラスメートとの会話やモノローグから、真面目で素直で冷静な性格であると感じられます。良かった…キャラぶれてない…。出会い編とのことで「J」の悪夢がよぎりましたが、ちゃんと私の知っている若島津本人でした。さすが本家本元。この時点でサッカーは初心者ですが、空手技の応用で見事な連続ゴールを決めます。日向は素人相手に点取りすぎでベンチに下げられていましたが、若島津の素晴らしいプレーに興奮し「だめだ もうがまんできねえ」と勝手に再出場。ゴール前に立ちはだかる若島津に向かって突っ込んでいったところで続く。次回は4月発売のvol.11で…
4月!?
なにいいいいッッ!!! 4月だとおッ!? 便座の上でワナワナ震える私(また駅のトイレで読んでた)。先生ご多忙のため2月はお休みだそうです。2か月でもふざけてるのに4か月…。今後若島津が明和FCに入ってGKにコンバートして岬くんが転校してきて最強のチームができるまでやるんですよね? いつまでかかるのこれ。翼の話だって4回くらいで終わったのに、と思って調べたら1回分が30ページくらいありました。明和編は毎回十数枚。どうしてこんなに小出しなのか。私みたいにスピンオフしか読まないやつに買い続けさせるための策?(見事に引っかかっているのが悔しい)


2022年4月 第4話
小出しすぎて付き合いきれない感じになってきました。2か月とか4か月とか待った挙句「これだけ!?」の繰り返しなのがキツイです。内容は別に問題ないんですが…。単行本になってから一気に読んだら面白いのかなこれ。さすがの私も挫折しかかってます。
クラス対抗戦で日向と互角の戦いを繰り広げた若島津ですが、最後は一瞬早くシュートを決められてしまいます。同時に日向の頭に竜巻蹴りが炸裂して失神騒ぎになりますが、若島津はまったく気にせず「まだまだ修行が足りないなー、でも楽しかったv」とゴキゲン。今まであまり身が入ってなかった空手の稽古に熱心に取り組むようになった、というあたりで終わっていてサッカーを始めそうな気配はまだありません。
最後に若島津の兄とおぼしき人物がバーンと登場します。名前は真(しん)。ドンピシャで当たりました。数人の方に明かしたのみと思いますが(どっかに書いたかな)、うちの設定では若島津兄弟は上からシン・レイ・ケンと北斗の拳のキャラ名で揃えているのです(妹は描いてないので決めてない)。名前は漢字まで一緒でしたが顔は全然違いました。私は単に区別のため若父そっくりに描きましたが、原作では若島津と同じ系統です。こんな細かい話を2か月に1回十数ページでどれだけ続けるつもりでしょうか…。


2022年6月 第5話
前回日向にゴールを決められてしまった若島津は、シュートを止めるのに役立ちそうな空手技の特訓に励みます。そして次の体育の授業では自らキーパーを志願。素人とは思えぬスーパーセーブを見せつけ、先生からシュート禁止令が出ている日向を挑発。二度目の対決は如何に…で続く。これだけ!?
しかし「若島津の原点はFW、吉良監督の指示でGKに転向」って話はどこへ行ったんでしょうか。これ最初からキーパー志望ですよね。具体的に二人の過去を考えてみたら、そうしないと成り立たないと気づいて、「やっぱやーめた」みたいな?
私は「日向がサッカー初心者の若島津を、GKの才能を見込んでスカウトした」という設定が好みで、明和ネタは全てその線で考えてます。でも五輪編で急に昔はFWだったことになったんで、仕方なくその前提で話作ったりもしました。なのに…元々の妄想通りで合ってたじゃん! FWも監督も関係ないじゃん!!


2022年8月 第6話
連載開始から1年経ってもなかなか進展しないC翼メモリーズ「最強!!明和FC伝説」。何しろまだ若島津が明和FCに入ってすらいません。
本当は全部終わってからレポを書くつもりでしたが、今回の話が非常に素晴らしかったので現段階の感想をまとめることにしました。端的に言うとですね、小5の日向と若島津が学校の授業でサッカー対決をして、若島津が勝ったのです。毎回おそるおそるページをめくってきましたが、この件で不安が一気に吹き飛びました。



私の考察は正解を追求したものではなく、考察っぽい体裁をした単なる駄話なので、原作と矛盾していても全然構わないのですが、1点だけ思いっきり断言してしまっている内容があります。それは「日向と若島津の選手としての実力に差はない」ということです。これだけは譲れない、もし違っていたら原作と決別するしかないと真剣に悩んだほどの、私が最もこだわってきた絶対条件です。
二人の力は対等であり、一方的な勝ち負けの意識はない。勝てない相手だから、負けを認めたからという理由で、若島津は日向に従っているわけではない。ていうかFWもGKも空手もトップレベルな若島津の方が能力値高いのでは、というのが私の認識です。ええ、そりゃあもう何十年来の若島津ファンですから。
ゆえに五輪編で俄かに出てきたコンバートの話がイヤでイヤでたまらず。なんだかFWとしては日向より劣るからGKに回されたみたいじゃないですか? あとアニメ2作目「J」もひどくて、日向のシュートが取れなかったから言うこと聞いて明和FCに入ったような…。そんなネタ勝手にでっち上げんな!!!と怒り心頭でした。こういう前例があったため、今度のスピンオフもその線で行かれたらどうしようと危惧しておりました。
が、公式に出された過去エピソードはコンバート時の発言とは異なっており、むしろ私の妄想に近いものでした。若島津の原点はFWではなく、最初から天才キーパーの素質を持つ者として降ってわいたように現れ、さらにサッカーのガチ対決で日向に勝てる力があることが示されたのです。
完全に私見ですが、若島津が日向に敬意を表しているのは、サッカーの実力が自分より上だからではないんです。戦ったら互角だけれど、この人には敵わないと感じさせる何かがある。野獣とサラブレッドの差とか交通事故による心境の変化とかは個人的なシュミですが、人生経験や生育環境、性格など、お互いを知る中で特別な感情が生まれ、自然とそうなっていってほしい。
腐視点でもただ「弱い方が受け」ではなく、こんなに強い彼が受けと化してしまう謎の経緯、危ういバランスの崩れる瞬間が最大のファンタジーなのです。日向だって明らかに格下の相手から慕われても食指が動かんでしょう。自分のシュートを止めるようなやつだからこそモノにしたい。フッ、俺は天性のハンター。難しい獲物を仕留める方が燃えるぜ!(妄想)
何はともあれ、これで私は原作と決別せずに済みました。もちろんこの先どうなるかわからず、次は徹底的に負けるとか、辻褄合わせのためFWやったりとか、いろいろあるかもしれません。けれど一番大事なところが自分の脳内の人たちと同じだったので、後はどうにでも都合よく解釈できると思います。


2022年11月 第7話
前回負けた日向の方が若島津に激しく執着。家まで押しかけ再び勝負を挑み、「俺が勝ったらおまえは俺のモノ」もとい「明和FCに入れ」と…。 その勝負とは、かかと落としによる瓦割りで、引き分けなら日向の勝ちでいいことになりました。つまり若島津の方が格上という扱いですね。高嶺の花を追い求める日向。始まりは完全に小次→健だったのです。そんならそうと最初から言ってくれたら、ブーム当時に描いてくれていたら、逆が主流とかあり得なかったんじゃないでしょうか。
しかしこのシリーズ、昭和感が全くありません。明和FCは吉良監督の他にスタッフが何人もいる立派な組織になってるし、日向はバイトに明け暮れてないし、現代設定になってるんでしょうか。おでん屋とか新聞配達とかコンプラ的に無理なのかなあ。時代劇ってことでいいと思うんですけど。
日向も貧乏ネタが省略されてるせいか、まるで影のないやんちゃ坊主にしか見えない(私が描くのもそんな風なので文句は言えませんが)。若島津の方が「強すぎて孤高の存在だった」とあらすじにあり、性格もなんだか浮世離れしてます。天女が人間の男に惹かれる感じ?
今回も小出しで、勝負の結果はまた次号(いい加減にしてくれ)。明和FC入りは決まっているわけですが、個人的には若島津が負けて約束だからと加入するより、勝ったにもかかわらず日向に興味を示して自分から入る方が希望です。


2023年1月 第8話
明和FC入りを賭けた勝負は若島津が勝ちました。しかし日向がトンズラした後に実は引き分けであったことが判明。どうやら「引き分けなら日向の勝ちでいい」という条件は、若島津に負けさせないための伏線だったようです。空手日本一が無名のサッカー少年に敗北などという、空手に対して失礼な結果にはできない。日向は賭けには勝ったが、実力で若島津を負かしたわけではない――ということにしたんではないか。若島津は負けて家来になるのではなく、日向を「同格」と認めて外界に出てくることになります。
若父の「いい友達ができてよかった」という言葉に反応する若島津。トモダチ――ああ、わかりますわかります、ずっとそういう妄想してきましたから。楽しくなってしまったんだね、あのメチャクチャな男とのやりとりが。結果がわかる前から、すでに心は日向に傾いていた。たぶん初めての、同じ次元で渡り合える相手――。ワールドユース編もそうだけど、新エピソード出てくると必ず腐女子より一歩先を行く小次健になっているんですよね。ありがとう先生ありがとう。
そして何やら決意を固めた若島津が真兄さんと組手をすることになり以下次号なんですが、兄さんは去年の小学生チャンピオンだそうです。てことは年子? 去年6年生だった可能性もありますが、年齢差は1歳か2歳なわけです。姉は? どっちか双子とか? そして次はまた3か月後だとうッ!?  


2023年4月 第9話
真兄さんは2コ上と判明しました。小柄で弟より頭ひとつ分くらい低いんですが、一体兄さん身長何cm? 若島津は小6時で159cmが公式設定のはずですが、もしや先生忘れてます? 現時点で日向とも身長差がありますが、日向の背がだんだん伸びて全国大会の頃には並び「ほら追いついたぜ」、ガキだと思っていたらいつのまにかお似合いに…みたいな展開なら萌える。



そして、今回ついに若島津が明和FCに入団しました。最高です。読んできて本当に良かった。私は年表も持論もキャラ観も、何も変えずに済みました。どっちかというと同人界の傾向を客観的に論じようとした考察よりも、自分の妄想マンガの方が原作に近い気がします。いや、原作は私の妄想なんかとてもとても及ばない、圧倒的な小次健作品でございました。
前回逃げ帰ったのに性懲りもなく「若島津を賭けた勝負」を考案中の日向に、タケシが驚く。
「日向さん、若島津さんの明和FC入団をまだ諦めてなかったんですか!?」
「まあな」
「それまでしてチームに引き入れたいなんて、日向さんはよっぽど若島津さんのことが気に入ったんですね」
「えっ」
戦力とかキーパー候補とかいう以前に、あいつが欲しい。タケシにももうバレてる。初対面から気になって仕方なく、最初は反発するがいつしか惹かれ合い、猛アタックして失敗しても諦めず、ようやく手に入れた歓喜の瞬間――いずれも女子キャラとのラブコメにはない要素です。C翼史上最も説得力のある、王道のカップル成立物語がドラマチックに描かれています。
若島津が明和FCに入ったのは「友達との約束だから」。勝った負けたとか、どっちが上とかではなくて、勝負すること自体が楽しい、初めての友達――。明和FC入団を賭けた勝負、なんて自分には何の得にもならない話に乗ってあげてる時点で、一緒にサッカーやるのもいいなという気分になっちゃってると思う。実力差を認めて軍門に下るのではなく(修哲とは違うんです)、日向を「友達」と感じたゆえの行動だったのがうれしい。

ここまで読み終えた現在、私はすべての訴えが認められた「完全勝訴」の気分です。Y先生ありがとうございます。やはり原作者は神様です。
ひとつ難があるとすれば、若島津の造形が小5も五輪編も大して変わらないことですかね。すでに完成された美貌。この絵ですと「前髪切ったら美人」「中学で激変」ネタは難しい。けど「出会った瞬間一目惚れ」路線でイケるのはいいかも。妄想のバージョンはいくつあっても構いません。
今後も楽しみに読み続ける所存ですが、願わくはもう少し1回のページ数を増やしていただき、できるだけ早く完結してくださいますよう。もうすぐ2年。まだ日向に対して敬語を使ってませんが、そこらへんの経緯も明かされるのか。岬君の話もこれからだし、一体いつまで続くんでしょうか…。



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